Cyber Lily Diary

Cyber Lily Diary

クラウドセキュリティエンジニアが語ります。

「ネットに繋がらない自由」もあるのだということ

コロナ禍の前、北米に駐在していたころの話です。1週間の休暇を取り、キューバに行きました。どの旅行記も「米国との関係悪化が懸念されており、行くなら今」と書いており、純粋だった私は煽られるがままに航空券のチケットを予約したのでした。

到着して、街に出てびっくり。どのお店に入ってもフリーWi-Fiが飛んでない。泊まった宿にもない。

キューバの首都ハバナでは、エテクサ(ETECSA)という通信ショップが街中の特定の公園等でWi-Fiを提供しています。現地人の事情は知りませんが、一般の観光客がハバナでインターネットを使いたかったら、このようにエテクサがWi-Fiを提供している場所の情報を仕入れ、実際にそこに赴く他ありません。そしてその前に、街の中心部にあるエテクサの店舗を訪れ、接続用の認証情報が書かれたカードを購入する必要があります。エテクサの営業時間中は、観光客が行列を形成します。Wi-Fiが提供されているエリアもごく僅かなので、朝から晩まで大勢の人々が座り込んでスマートフォンをいじっています。デジタル化が全く進んでおらず、トイレに紙を流さないくらい、水道や電気といったインフラも相当古い設備をそのまま使っている国です。良くも悪くも昔ながらのカリブ海の島国の面影を濃厚に残した街並みの中で、人が密になりスマホの画面を凝視しているその光景は、とても異様で、同時に非常に印象的でした。

事前に読んでいた旅行記でこのような現地事情を知ってはいたので、オリジナルでガイドブックを作成して持ち込みましたが、それ以外に頼れるツールがありませんでした。スマートフォンも念のため携帯はしていましたが、もはやただのカメラ以上の何でもありませんでした。

キューバ滞在中は、ハバナの他にビニャーレスとトリニダーという2つの都市を周りました。ここでもオンラインの事前予約等はできないため、入国前の段階でいくつか候補を揃え、それぞれの住所を控えておく必要があります。宿の人にタクシーを手配してもらって、数時間の車に揺られて(基本的にすし詰め)目的の街に到着したら、候補の宿を順番に回っていき、ベッドに空きがあるか訪ねていく、という流れになります。もし、訪れた宿全てで空きがなかったら…考えたくもないですが、可能性としてはありえます。この場合、宿のオーナーにその街の他の宿を紹介してもらう他ありません。

実際に現地を訪れてみると、改めて自分が普段、いかにスマートフォンに依存しているかを実感しました。同時に、スマートフォンが無くても、キューバという社会主義国家、言葉も違えば作法も違う環境、右も左も分からない状態でも余裕で生きていける、なんなら旅までできるという、至極当然の事実を再認識しました。もちろん、キューバという国が印象に反して驚くほど治安が良いという前提がありますが。

当たり前ですが、観光客の視点でもそんな感じなのです。キューバの人々は、日常の生活で全くインターネットを使ってない訳です。キューバ国民の中には、インターネットに接続可能なデジタルデバイスに触ったことすらないという人も少なからずいるでしょう。それでも、みんなとても幸せそうなのです。陽気で、大らかで、気さくなのです。日本で毎朝死んだ魚のような顔をして通勤電車に揺られていた自分の姿を隣に置いて比較してみると、そこはあまりにも時の流れが春の小川のように穏やかで、世界は幼き日の母のように優しく、そして街並みは真冬の炬燵の中のような暖かさに満ちていたのです。

ITエンジニアとしての仕事はインターネットの存在が大前提です。平日の日中は常にインターネットの向こう側のことを考えます。インターネットを通じてクライアントとサーバがどのような原理でコミュニケーションを実現しているのか、そのネットワーク構成や通信プロトコルを解析します。そしてプライベートの時間はYouTubeや数多のSNSを巡回し、ドーパミンの海に溺れます。日々の生活の中で、むしろインターネットに接続されていない時間の方が短いのです。こうして文字にしてみると、19世紀の清国のアヘン中毒者と現代の日本人は何が違うんだろうかと考え込んでしまいます。そんな状態が、「幸せではない」という状態が、当たり前になっていたことに気付きました。脳の処理が到底追いつかないほどの量の情報が氾濫し、常に電磁波を浴びながら、インターネットを通じて正しいのか間違っているのか分からないような情報の奔流に晒されている状態が普通であると。そうでない状態は不幸なのだと。それは貧困なのだと。よく分からない価値観に染まり切っていたことに気付きました。

この時から、「インターネットに繋がらない自由」という概念が、私の意識の片隅に置かれました。私の肉体が忙殺される度、その存在は埋没します。しかし、ふとした瞬間に、ひょっこりと顔を覗かせてくるのです。その時、私の意識の世界では、太陽が昇ったかのように、新しい風景が広がります。

リトアニア(EU)の対露制裁と、報復措置としてのロシアによるサイバー攻撃

リトアニアでは非常事態体制が9月中旬まで延長

東欧のバルト三国の一つであるリトアニアでは、国家としての非常事態体制が2022年9月15日まで延長される運びとなるようです。

www.lrt.lt2022年2月24日に導入されて以来、この非常事態体制が延長されるのは初めてではありません。下記の2022年3月10日の記事では、非常事態体制が2022年4月21日まで延長される旨が報道されています。

www.lrt.lt

そもそもリトアニアとは?

リトアニアは国全体でも国民が300万人に満たない小さな国です。この数字は、日本で言うと、京都府広島県の県民数と同じくらいです。

にも関わらず、旧ソ連構成国でもあったリトアニアは、国として明確な反ロシアを掲げることで、ヨーロッパの中でも一際強い存在感の創出を試みています。

下記はロシア=ウクライナ紛争の最中の2022年4月初旬、テレ東のキャスターが同国の首相に対して実施したインタビューの動画です。観てみると、対応してくれたシモニテ首相の受け答えからは、飄々とした口調とロジカルな発言内容からクールで知的な印象を受けます。一方で、言葉の節々からロシアに対する嫌味が滲み出ています。イギリスの文化的影響を強く受けて育った方なのかな?などと勘ぐってしまいました。

www.youtube.com日本人とは全く異なる視点で、かつバルト三国という独特な立ち位置の人間の本音が垣間見えて面白く、内容も非常に示唆に富んでいるため、ぜひ日本の皆さんにも観て頂きたいです。

リトアニア(というよりEU)による対露追加制裁

そんなリトアニアですが、つい先日、同国内を通過するロシアの飛び地であるカリーニングラード州と接続する鉄道貨物輸送の制限という、思い切った施策に出たようです。

news.yahoo.co.jp「ええっ、広島県程度のちっさい国なのに、そんなことをしちゃって大丈夫なのかい!?」と思いましたが、リトアニア政府の言い分としては下記のようです。

リトアニア政府は「追加の制限を加えたわけではなく、EUの制裁を適用しただけだ」と説明。

う、うん、なるほど…?リトアニアという単一の国家ではなくEUとしてのアクションだから、仮にロシアが報復してきたとしても、今度はEU全体が敵に回ることになるぞ、だからリトアニアへの直接的な報復は無い。そういうロジックですな…?

リトアニアがこのような思い切った施策に乗り出せる背景には、いち早くからロシア依存からの脱却に向けて手を打ち、そして成果を挙げているという事情があります。その最たる例として、2022年4月時点で、リトアニアはロシアからの天然ガスの輸入を完全停止しています。国家の規模が違うとはいえ、ロシアへの天然ガス依存で苦しんでいるドイツ・イタリア・ハンガリー等とは正反対です。

www.nikkei.com

確かに2022年6月末時点で、リトアニアに対するロシアからの目立った軍事的・経済的な報復措置に関する情報は見当たりません。リトアニアは小国とはいえNATO加盟国ですから、大国ロシアと言えど迂闊に殴りかかることはできません。

…とは言っても、どうせ「目に見えないあっちの世界」ではバチバチやってるんでしょ?というのが、本記事の原点になります。

目に見えないところでロシアによる報復措置は実行されている

色々と現地メディアを徘徊してみると、やはり、結構激しくヤッちまってるようです。

www.lrt.ltロシア系列と見られる"Killnet"というハッカーグループが、リトアニアに対する報復措置としてDDoS攻撃を宣言したようです。リトアニア国内の、日本で言うところのe-Taxのようなシステムや、空港、鉄道などのいくつかのITシステムで混乱が起きているようですが、今のところ重大なインシデントには発展せず、一過性のイベントとなったようです。

翌日には、リトアニアe-Taxがダウンしたのはサイバー攻撃とは直接的な関係はなかったよー、という記事が出ています。

www.lrt.lt

“It was a technical network failure that was not directly related to the attack. The attack did take place, but it was not serious, and the failure was due to a network fault,”

なるほどなるほど、「確かにサイバー攻撃はあったけど、そんなに深刻じゃなかったよ。サイバー攻撃とは直接は関係のないネットワーク障害によるものだったよ」と…。

っていやいや、それはそれでどうなんじゃい、と突っ込みたくなりますが、まぁそれは置いといて。

リトアニア防衛大臣 Arvydas Anušauskas のコメント

下記はリトアニア防衛大臣が同サイバー攻撃に関して言及した内容を報道した記事です。

www.lrt.ltインタビューの中で防衛大臣は、単純なDDoS攻撃だけでなく、企業の顧客データを狙ったランサムウェアを用いたサイバー攻撃の可能性に言及しています。また同国の国立サイバーセキュリティセンターも、公的機関に対する攻撃から民間企業に対する攻撃に徐々にトレンドがシフトしていることに対して警鐘を鳴らしています。

おわりに

対露制裁に参加している日本にとって、対岸の火事とは言えません。日本のニュースを見ていると、どうも「いやー、別にアメリカみたいにジャベリン提供している訳でもないし、日本は大丈夫っしょ」みたいな温度感の人が大多数らしく、日本だなぁ…と感じてしまいます。

おまけ

カリーニングラード州へ接続する貨物鉄道に対するリトアニアによる制限とそれに対するロシアによる報復措置に関する最新の動向に関しては、下記からキャッチアップしていくことができます。

www.lrt.lt

 

【CISSP】BrightTalkのWebinarを視聴してもCPEが自動登録されないのでアカウントを作り直した

BrightTALKでWebinarを視聴した時に自動でCPEが登録されるようにしたい

CISSP1年生です。効率の良いCPEのため方がよくわかっていないので、取り急ぎBrightTALKのWebinarの視聴から始めてみました。(ISC)^2の公式サイトを見てみると、Webinarを視聴すると自動でCPEが加算されるということが書いてあります。しかし、私のアカウントではその自動登録がされず、都度CPEポータルから自身で申請をしていました。最初は特に苦にならなかったのですが、毎回手動で登録している内にさすがに億劫になってきました。そこでGoogleで先人達の知恵を探したところ、下記のことがわかりました。

  • Webinar視聴によるCPE自動登録を有効化するためには、BrightTALKのアカウントと(ISC)^2のメンバーIDとを紐づける必要がある
  • 上記の紐づけは、BrightTALKのアカウントを新規作成する時にしかできない
  • 私のようにCISSP合格以前からBrightTALKのアカウントを持っていた場合は、一度BrightTALKのアカウントを削除した上で、作り直さなければならない
  • BrightTALKのアカウントを作り直す場合、現在のアカウントに残るWebinar視聴履歴は全て削除される

視聴したWebinarに関しては全てCPE登録済みで、エビデンスも確保できている状態だったので、BrightTALKのアカウントを削除した上で再度作成し、(ISC)^2のメンバーIDと紐づけました。このプロセスがやや複雑というか、トラップがいくつかありましたので、備忘録をかねて手順を共有します。

BrightTALKのアカウントを削除する

まずはBrightTALKのアカウントを削除していきます。アカウントを削除すると、それまでの動画の視聴履歴が削除されます。まだCPEの申請が登録が完了していない分がある場合は、先に手動でCPEの登録申請を行いましょう。

BrightTALKの公式サイトにアクセスし、ログインします。

 

[Account settings]を押下し、アカウント管理画面に進みます。

 

画面の一番下までスクロールし、[Delete account]を押下します。

 

確認画面が表示されます。[Yes, delete my account]を押下します。

 

エラー文が表示されました。まだunsubscribeできていないチャンネルがあるとのこと。

 

なんのことかよくわかりませんが、一旦プロフィール画面に戻って確認したいと思います。[No, return to my profile]を押下します。エラー文が表示されなかった人は、そのままアカウントの削除を進めてしまって問題ありません。

 

[Back to My BrightTALK]を押下します。

 

[My channels]というボタンがありますので、押下します。

 

視聴予約しているWebinarが表示されます。ここにデータが残っていると、先程のエラーによりアカウントの削除に失敗するようです。この画面に登録されているWebinarを、全て[Unsubscribe]します。

 

確認画面が表示されます。構わず[Unsubscribe]を押下します。

全てのWebinarをunsubscribeすると、[My channels]の画面が上記のようになります。[Account settings]を押下し、改めてアカウントの削除を進めていきます。

 

[Delete account]を押下します。

 

[Yes, delete my account]を押下します。

 

[Delete my account]を押下します。エラーが表示されなければ、これでBrightTALKアカウントの削除は完了です。

BrightTALKの公式サイトからアカウントを作成してはいけない

BrightTALKのアカウントの削除が完了しました。続いてはBrightTALKアカウントの再作成ですが、そのままの流れでBrightTALKの公式サイトからアカウントを作成してはいけません。ここがわかりにくいポイントなのですが、BrightTALKのアカウントと(ISC)^2の会員番号を紐づけるには、(ISC)^2の公式サイトからBrightTALKのアカウントを作成する必要があります。手順を後述しましたが、ここがわかっていないと、シーシュポスの岩さながら、アカウントの削除と作成を繰り返す羽目になります。

(ISC)^2のメンバーIDと紐づく形でBrightTALKのアカウントを再作成する

(ISC)^2のメンバーIDと紐づく形でBrightTALKのアカウントを作成するために、(ISC)^2の公式サイト上のWebinarの視聴予約画面からアカウントを作成していきます。

 

[Continuing Education] > [Webinars] と押下していきます。

 

色々と試してわかったのですが、Webinarの視聴予約画面からの登録あれば、どのWebinarでも良いという訳ではないようでした。最初、日本人の資格保有者がCCSPについて解説しているWebinarの視聴予約画面からの紐づけを試みたのですが、(ISC)^2の情報を入力するフィールドが表示されず、紐づけできませんでした。どうも、CPEの獲得対象になるWebinarでなければならないようです。私の場合は、[Security Briefings - APAC]の章の、[Get More Info]から進みました。

 

画面を下にスクロールしていき、[Upcoming]の中からCPEの対象になりそうなWebinarを探し、リンクを押下します。

 

画面を下にスクロールしていくと、BrightTALKの登録画面が表示されます。必要な情報を入力していきます。

 

色々と聞かれるので、順番に入力していきます。

 

全ての入力が完了したら、[Proceed]を押下します。

 

ここでようやく(ISC)^2のメンバーIDが聞かれます。[ -- Are you a member of (ISC)2? -- ]のドロップダウンで[Yes]を選択し、続くフィールドでメンバーIDを入力します。

 

次回のWebinarを待つ

BrightTALKアカウントと(ISC)^2のメンバーIDの紐づけの手順は以上です。無事にCPEが自動登録される状態になったことを祈りながら、次回のWebinarを待ちたいと思います。

 

 

【投資考察】(3922)PR TIMESの今後の株価を予想する【テクニカル分析】

f:id:irisfelt:20210227122301p:plain (3922)PR TIMESの株価を日足チャートに基づくテクニカル視点で観測し、これまでの短期的な価格推移を分析すると共に、今後の投資戦略を検討します。

※本記事はあくまで個人的な認識を文字におこしただけのものであり、読者への助言や売買の推奨を意図するものではありません。投資判断は全て自己責任でお願いします。

 

結論(簡潔に)

中期的にダウントレンドと考えます。200日移動平均線は依然として上向きですが、好決算の割りに買い圧力が弱く、出来高が伸びません。3000円のサポートラインで反発する可能性がありますが、現時点では下方向のモメンタムが強く、買いポジションを持っている方は、ポジションの整理を検討しても良いと考えます。

企業概要

会社名 PR TIMES
市場 東証
企業コード 3922
業種 情報・通信業
時価総額(億円) 434.0
発行式株式数(株) 13,457,200
PER(倍) 38.7
信用倍率(倍) 13.66
テーマ 情報配信 IR マーケティング SNS フェイスブック ブログ 広告 RPA IPO支援 
概要 プレスリリース配信サイト「PR TIMES」運営。動画など関連サービスも。ベクトルの傘下。

※情報は2021年2月27日時点のものになります。

考察の時系列

コロナ禍が始まって以来、好決算を連発して個人投資家から注目を集めています。もともとここは「少ない出来高でジワジワ伸びていく」銘柄でしたが、2020年末から「好決算の発表→ストップ高→利益確定売り」という流れが始まっています。SNSで広く認知され、多くの個人投資家が参入していると考えられます。

2020年11月末時点で、好決算を受けてのストップ高からの利益確定売りにより、株価は決算発表前の水準に戻してきました。この時点ではコロナ禍の継続を受けて次の決算も良いことは目に見えており、決算発表日に向けた期待上げが期待できました。

2020年1月12日、経常利益を83%上方修正・最高益予想を上乗せという爆絶決算を出してきます。これを受けて翌日の株価は大きなGUからの陽線となります。

ちなみに筆者は完全にこの銘柄の存在を失念しており、この株価の成長にキャッチアップしたのは1月25日でした。結果論ですが、上記のツイートは下記の画像の青丸時点でのものであり、過剰な期待を含む市場コンセンサスが形成される前の、絶好の仕込み時であったことが分かりました。

ここから利益確定売りと材料出尽くしにから連続して陰線をつけ、2月2日に直近のGUの窓埋めを完了させます。MACDは下向き、かつ短期MAが中期MAに対してDCしているとはいえ、長期MAをサポートラインとして反発しているように見え、短期的な買い時に見えます。

結果としてこの分析は当たっており、翌日6%の大幅高となります。なお筆者はここでもエントリーしておらず、利益を逃しました。

その後も株価は上昇しますが4000円で頭打ちとなり、また出来高も減少し、3800円のサポートラインの周辺で軟調に推移する展開となります。上に行くか下に行くか決めかねている状態であり、打診買いを一枚入れるならここ、というタイミングです。

結果として、ここからは下方向のトレンドを形成し始めました。市場全体的な地合いの悪さもあり、一気に長期移動平均線を下抜けします。3000円台のサポートラインは個人投資家が多く参入してくる前の水準であり、チャートだけ見ると、短期的にはここでの反発が期待できます。

しかしながら、決算内容の良さに対する売り圧力の強さがどうにもしっくり来ず、信用残高を確認してみたところ、2021年に入ってから、信用買い残・売り算ともに大きく増加していることが分かりました。2021年1月20に貸借銘柄に指定されており、空売り勢が参入していることが分かりました。

prtimes.jp

今後の株価推移の予想

短期~中期的に、軟調に推移すると予測します。大きく下がることはあっても、短期的に大きく上がることはないでしょう。なぜなら、下記の3点の事象から、短期~中期的な下降トレンドに入っていると考えられるためです。(下記は全て日足チャート参照)

  1. 2020年11月以降機能していた中期移動平均線のサポートを明確に割り込んだ
  2. 出来高が少ない日が続いており、買い圧力がない
  3. MACD・RSIともに下方向のモメンタムを示唆している

まとめと今後のポジション戦略

今は特に仕掛けず、今後の動向を経過観察すべき時期と考えます。なぜなら、下記の3点の不確定要素から、今後の株価推移の予測が非常に難しいためです。

  1. 貸借銘柄に指定された→空売り勢が参入しており需給・流動性が変化し始めた
  2. コロナワクチンが流通し始めている→ここはコロナ禍を追い風として利益を伸ばした企業であり、アフターコロナの世界においても同水準の成長率を維持できるかが不明
  3. 好決算を連発したゆえに、既に市場からの期待値が相当高くなっており、コンセンサスを上回る成長を実現できるかが不明

強いて言えば、200日移動平均線を目標とした短期的な売りが有効かもしれません。しかしながら、しっかりと好決算を出している企業であり、次の決算内容と見通しによっては、再び上昇トレンドに移行する可能性があります。

従って、直近で大きな材料が出るか、あるいは次の決算が発表され今後の長期的な見通しが明かされるまでは、リスクに対する利益を期待することは難しく、経過観察すべき時期と考えます。

 

【投資考察】(3981)ビーグリーの今後の株価を予想する【テクニカル分析】

f:id:irisfelt:20210227122525p:plain (3981)ビーグリーの株価を日足チャートに基づくテクニカル視点で観測し、これまでの中期的な価格推移を分析します。決算を持ち越して被弾した人も多いのではないでしょうか。ちなみに自分もその1人です。決算発表後のPTSで捌きましたが、今後の投資戦略を検討します。

※本記事はあくまで個人的な認識を文字におこしただけのものであり、読者への助言や売買の推奨を意図するものではありません。投資判断は全て自己責任でお願いします。

 

結論(簡潔に)

長期的にダウントレンドと考えます。信用買い残が積み上がっている上、1460円代のサポートを明確に割り込んでしまい、どこまで掘り下げるか予測ができません。買いでエントリーするタイミングではなく、かつ売りでエントリーするにしても旨味が少ない、非常に中途半端なポジションです。

企業概要

会社名 ビーグリー
市場 東証
企業コード 3981
業種 情報・通信業
時価総額(億円) 86.2
発行式株式数(株) 6,175,661
PER(倍) 15.8
信用倍率(倍) 402
概要 コミック配信サービス「まんが王国」運営。豊富なコンテンツに強み。自社企画に注力。

※情報は2021年2月26日時点のものになります。

考察の時系列

2021年1月において、出来高を伴う大売りが一服し、レンジ相場にありました。2020年の年末に一度エントリーしたのですが、大納会辺りでの市場全体的な下げの中で撤退し、年明けに再度エントリーしました。1月12日時点では、下記のツイートの通り、緩やかな上昇トレンドに見えました。

決算が良いことは分かり切っていたので、決算発表の2/12に向けて決算期待上げが見込んでいました。テクニカル的にも200日移動平均線がサポートラインになると考え、多少沈んだとしても決算まではホールドするつもりでした。

1月18日にはサポートがきれいに機能し陽線を作ったので、ここから反転が始まると予測し、大引けで戦略的ナンピンに踏み切りました。下方向のモメンタムが強そうに見える三角持ち合いでしたが、上記の通り決算への期待から、上方向に持ち合いを抜けると予測しました。

しかしながら、ここから買い圧力が思ったほど伸びず、実体の小さいローソク足が連続で形成されます。正直この辺りから、シナリオ通りにいかなそうだな、と思っていました。実際にこの後、大きめの陰線を形成し、一気に2020年9月末に発生したGUの窓埋めに動きます。

どうしてこんなに買い圧力が弱いのか疑問に思い、信用残高を確認したところ、思っていた以上に信用買い残が積みあがっていることが分かりました。

対応方針の修正(=損切り)を検討しましたが、2021年1月29日、ちょうど上記の窓埋めを完了したところで反転し、陽線を形成します。

ここからは連続して陽線を形成します。当初の想定通り、2/12の決算発表に向けて、決算期待上げが始まりました。しかしながら既に信用買い残が積み上がっているため、どこまで上がるのか懐疑的な部分はありました。

その後、出来高に大きな変化が起きることもなく、薄商いの中で粛々と時間だけが進みます。2/12は決算シーズンの中でも最も多くの企業が決算発表を行う日であったため、このようなマイナーな小型株が注目されづらいという側面があります。

2/9の時点で、MACDGCしていましたが、レンジ相場なので信頼性は低いです。しかしながら短期移動平均線が中期移動平均線に対してGC目前だったため、合わせ技一本で上方向と判断し、決算を持ち越すことにしました。

決算を跨いだ結果は周知の通りです。経常利益が22%増で4期ぶりに最高益更新という好決算でしたが、市場のコンセンサスを下回りました。PTSの動きを見て、その日のうちに損切りしました。

今後の株価推移の予想

買いポジションがある人はポジションを解消するべきと考えます。なぜなら、下記の4点の事象から、中長期的な下降トレンドに突入していると考えられるためです。(下記は全て日足チャート参照)

  1. ローソク足の実体が三角持ち合いからレンジ下抜け
  2. 出来高が非常に少ない日が続いており、買い圧力がない
  3. 1460円台のサポートを下抜けしたが、信用買い残が積み上がっているためどこまで掘るか分からない
  4. MACDデッドクロスしており、下方向への強いモメンタムを示している

長期保有を前提としている場合はホールド継続で問題なしという意見を見ます。しかしながら、株価が上昇している銘柄などいくらでもある中で、はっきり言って機会損失ですし、その機会損失を補って余りあるほどの上昇が見込める将来性は感じられないというのが筆者の個人的な感覚です。

まとめと今後のポジション戦略

筆者は2020年1月初旬の時点で、2/12の決算発表に向けた期待上げでじわじわ株価が上昇していくと予測し、買いポジションをとりました。しかしながら、エントリーした時点で既に信用買い残が積み上がっており(不動株式数に対して10%以上)、買い圧力が残っていませんでした。購入する前に必ず信用残高を確認しなければならないという点が、今回の損失におけるLesson Learnedとなります。

長期的な展望としては、今回の決算失望売りにより、信用買い残が減少し、需給が改善していくと見込まれます信用買い残が健全な範囲内まで減少し、トレンドが明確に反転の兆しを見せる(=何かしらのカタリストによって出来高を伴って株価が上昇する)までは、エントリーしません。売りポジションでのエントリーも検討する余地はあると思いますが、既に大きく下げており、旨味は少ないと考えます。

【投資考察】(6034)MRTの今後の株価を予想する【テクニカル分析】

f:id:irisfelt:20210227122644p:plain (6034)MRTの株価を日足チャートに基づくテクニカル視点で観測し、これまでの短期的な価格推移を分析すると共に、今後の投資戦略を検討します。

※本記事はあくまで個人的な認識を文字におこしただけのものであり、読者への助言や売買の推奨を意図するものではありません。投資判断は全て自己責任でお願いします。

 

結論(簡潔に)

短期的にダウントレンドと考えます。長期MAは上向きですが、中期的にトレンドの転換点を迎えている可能性があります。買いポジションを持っている方は、ポジションの整理を検討しても良いと考えます。

企業概要

企業名 MRT
市場 東証M
企業コード 6034
業種 サービス業
時価総額(億円) 84.4
発行式株式数(株) 5,694,000
PER(倍) 63.3
信用倍率(倍) 2.83
概要 非常勤医師紹介サイトを運営。スマホで可能な遠隔診療・健康相談サービスも提供。

※情報は2021年1月29日時点のものになります。

考察の時系列

2020年の12月下旬において、短期的な下降トレンドにありました。大納会で切り返し、大発会に大きめの陽線をつけました。その後はもきりもみしながら3日連続の陽線となり、1月6日にエントリーしました。下記のツイートは2020年1月11日のものです。この時点で、数パーセントの含み益でした。

その後、2日連続して大きめの陰線をつけて含み損に転落します。この時点で、日足チャートで下記のようなトレンドラインを引きました。長期MAが上向きであり大商いも無いことから、一時的な押し目と判断します。

その後もレンジ内での上下運動となりました。プライマリートレンドが以前上目線であったことから、レンジ上抜けを期待してホールドします。

市場全体的な一時的な地合いの良さに引っ張られてか、何となく盛り上がりそうな雰囲気があり、1月25日には一時レンジ上限に迫るも、反転し、結局陰線となりました。出来高も増えません。

そして1月29日、明確にレンジを下抜けしました。モメンタムがほぼ無い中で、MACDデッドクロスとなりました。短期MAも長期MAに対してデッドクロス寸前となり、まさに風前の灯。

今後の株価推移の予想

買いポジションがある人は損切りを視野に入れるべき時期と考えます。なぜなら、下記の4点の事象から、短期~中期的な下降トレンドに転換し始めている可能性があるためです。(下記は全て日足チャート参照)

  1. ローソク足の実体が三角持ち合いからレンジ下抜け
  2. 出来高が非常に少ない日が続いており、買い圧力がない
  3. 短期MAが長期MAに対してデッドクロス寸前
  4. MACDデッドクロス済み

まとめと今後のポジション戦略

筆者は2021年1月6日の時点で、三角持ち合いのレンジを上方向に突き抜けて上昇トレンドが継続すると予測して、買いポジションを取りました。しかし1月29日時点で、このシナリオは崩れつつります。

従って、来週の月曜日でさらに陰線をつけるようでしたら、そこでポジションの半分を損切りします。その後1週間ほど様子を見て、トレンドが反転しないようでしたら、残りの半分も損切りします。

しかしながら、現時点では、このレンジ下抜けが逆指値狩りのダマシである可能性もあると考えています。誰が見ても明白なレンジ相場であることや出来高が依然として少ないままであること、1,500円という節目の価格であることから、この辺りを損切りあるいは利確ラインとして、逆指値を仕掛けていたホルダーも一定数いると思われます。

ゆえに、来週中、仮にしっかりとした陽線をつける日があった場合には、レンジの下側の線を引きなおして新しいレンジを認識し、それに基づいて経過観察とします。

【初心者必見】胡散臭いのは嫌いなアナタにおすすめな投資系YouTuber4選

f:id:irisfelt:20210227122923p:plain コロナ禍で在宅勤務が普及し、個人投資家が急激に増加しました。一番最初の緊急事態宣言が発令されてから本記事の執筆時点で丁度約一年となりますが、これから投資を始めてみたいと考えている人、投資を始めたばかりでどう勉強すれば良いか分からない、という人はまだまだいると思います。

YouTubeで検索してみれば分かりますが、投資系YouTubeのチャンネルは、それこそ星の数ほどあります。しかしながら、その大半は、再生数稼ぎや株価操作を目的とした低品質なチャンネルです。

このようなチャンネルに捕まってしまうと、ただでさえ投資とはパフォーマンス向上に時間がかかるものであるにも関わらず、全く上達しないまま時間を無駄にしてしまう可能性が非常に高いです。

今回は株をこれから始める方、そして最近株を始めたばかりの方を対象に、個人的にいわゆる「煽り屋」ではなく、本当に視聴者のスキル向上に貢献する情報を発信している投資系YouTuberを紹介したいと思います。

Dan Takahashi 高橋ダン - 日本語チャンネル

唯一無二の神。他に何と形容すれば良いか分かりません。

他のYouTuberと一線を画しているのは、その圧倒的な動画投稿量と金融リテラシーの高さ

もともとウォール街ヘッジファンドで働いており、コロナ禍をきっかけにYouTuberデビューしてみた。すると思いのほかバズったので、力を入れて取り組むことにした、とのこと。日本人とアメリカ人のハーフで、国籍は日本国籍だそうです。

2021年1月19日時点で動画投稿数は、なんと113。一日当たり5~6本という驚異的なペースで高品質な動画を量産しています。

だからと言って「質より量」という訳ではなく、日本人の金融リテラシーを向上させるため、ウォール街で培った高度なテクニカル分析や金融関連知識を惜しげもなくシェアしてくれます。

更に、日本人を愛し、日本人の英語力をも向上させたいと考えている高橋ダンは、同内容の動画の英語版をも公開しています。つまり、合計の動画の数は単純計算で2倍して、一日当たり10~12本という計算になります。ちゃんと休息は取れているのか、大丈夫か、ダン。

取り扱うジャンルとしては、株式市場のみならず、仮想通貨やコモディティ市場や債券市場、デリバティブ取引など、これまた驚異的な守備範囲から数日おきにアップデートをくれる神 of 神です。

下記の通り、マナブさん(@manabubannai)もTwitterで絶賛しています。

 そんな高橋ダンのチャンネルはこちら。

www.youtube.com

英語のチャンネルにはこちらからアクセスできます。聞き取りやすいネイティブの英語が気軽に聞けます。

その上、金融関連の英単語の知識がつくので、日本語で動画を視聴した後に英語版を視聴という流れを取ると、リスニング力の向上のみならず語彙力の向上にもつながると思います。

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Takao Hirose

さん、通称「じっちゃま」。

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て現職に至ります。

時として非常に辛口な方ですが、米国での数々の修羅場をくぐり抜けてきた豊富な経験を背景とした非常に高度な分析と先見性のあるコメントを発信しています。

取り扱うジャンルとしては、米国株が中心になります。

 

www.youtube.comなおご覧のとおり、じっちゃまはライブ配信をしてそれをアーカイブとして残す、というスタイルです。そのため、動画一本当たりの尺は基本的に3時間を超えており、とてもではありませんがほとんどの人にとっては全ての動画を確認するのは不可能に近いと思います。

最近、ライブ配信の中で重要度の高い部分だけを切り出したダイジェスト版を作成する【じっちゃま株まとめ】チャンネルが現れました。

こちらは一本当たりの尺が10分程度と、あっさり確認できるボリュームになっています。そのため、ライブ配信を視聴するのがベストではありますが、万が一視聴し損ねてしまった場合は、こちらで要点を拾っていくスタイルが効率が良さそうです。

 

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株の買い時を考えるチャンネル

通称「買い時さん」。「株初心者の勝率を1%上げる」をキャッチコピーに、銘柄研究や分析手法の紹介動画を数多く公開しています。初心者にも分かりやすい投資関連動画を探しているなら、まずこの人でしょう。

ウィリアム=J=オニールが提唱する「カップウィズハンドル」を中心に非常に「王道」な投資法や銘柄分析の動画を数多く出しています。

今や恒例となった有力銘柄振り返りのライブ配信は、日本市場の全体的な一週間の動向を把握するのに役立ちます。また買い時さんのライブ配信はコメント欄が非常に和気藹々とした雰囲気で、有益な情報を投稿する人が他のチャンネルと比べて目立つ点も、買い時さんのチャンネルの特徴の1つでしょう。

取り扱うジャンルとしては、日本および米国で注目されている株が中心になります。

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カニキの金持ち戦略ch

一見やる気がないが、飾らない人柄と日本人に好まれそうなユーモアの持ち主です。イラストは落書きのようで、アップロードされた動画はカテゴリー分けされてないし、しゃべり方も聞いてて力が抜けるようです。あまつさえ、たまにしょうもない下ネタをぶち込んできます。

ですが、今回紹介した中で、最も初心者にとっても再現性が高いトレード手法を探求・公開しているのはこの人です。またこの人ほどそのPDCAの過程を、最も偽りなく公開している人は他にいません。そしてその分析手法も、幾重の敗北経験の末に醸成されたもので、一定の信頼性があります。

取り扱うジャンルとしては、日本株の中小型銘柄が中心になります。

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おわりに

いかがでしたでしょうか。

筆者の主観ではありましたが、いわゆる「煽り屋」ではなく、ニュートラルな立場で本当に視聴者の金融リテラシーの向上や投資手法の改善に役立つ情報を発信している投資系YouTuberを紹介しました。これらのYouTubeチャンネルは、筆者も実際に日常的にチェックして情報収集に活用しています。

投資系YouTuberの数自体は、ここ一年間で加速度的に増加しました。

しかしながら、実際はその大半が、再生回数を稼ぐことや、自身の保有株の株価操作が目的であるチャンネルです。初心者のみならず、YouTubeにおける株に関する情報源としては、基本的に今回したチャンネルのみで十分と考えます。

この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。筆者もまだまだ含み損バッチ来いで勉強中です。一緒に頑張っていきましょう。ではまた。